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Happy Rich - 我、今、ここに、生きる -

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命がお金で買えるなら

「命がお金で買えるようになったら」

今後社会がますます高齢化してゆく中で、すでに問題化しつつある年金制度など、老後の経済的諸問題は確実に表面化してくるだろうと言われている。

その背景はよく知られているように二つある。

一つは、現在の年金制度が賦課方式であることから来る、受給者と拠出者のバランスが崩れてくること、

もう一つは、人間がますます長寿命化してゆく中で、定年後の人生がますます長くなり、老後生活の質の向上と合わせて、必然的に必要な老後資金が増大して行くこと。

そんな問題を考えていたときに、親の入院があり、久しぶりに病院へ行ってきた。

そこで見た光景、これは全国どこの病院でも恐らく日常化している光景なのだろうけれど、久しぶりの私にはある面、衝撃を与えた。

それは、どの階、どの待合室、どの専門科に行ってもそこを占領するかのような数の老人たちの姿。

日本人の寿命が延びたと言っても、こういったいわゆる薬漬けや、そこまで行かなくとも毎日あるいは数日置きの通院や看護で、

一昔前なら生きてもいないだろう人も今はなんとか生き永らえることができる。

決して、それが悪いことだと言うつもりはないが、初めに書いた老後の経済的諸問題は、この医療費を含めるとますます膨大な額の社会的負担になっていることも確かだろう。

これも人類の一つの「進歩」の結果であり、昔では望むべくも無い長寿命を享受できる素晴らしさは否定できない。

でも、しかし、である。

自分がその立場になった時にはたしてそれを望むのかどうか、とふと考えてしまう。

事実、近頃、医療の発展による延命の長期化と高度化の反動として、尊厳死の問題が真剣に議論されている。

でも、そんな尊厳死まで行く以前の問題として、人間として生きる幸福という観点で考えたときに、自分がその立場になった場合を考えると疑問に思ってしまう。

極端な話、現実問題として、半端でない経済的な負担が避けられない状況になったときに、その選択をできる、できない、もある程度経済的な余裕度に左右される。

つまりは、どれだけの延命を図れるかも、その人間の経済力により左右される。

一方では、もしある程度の経済力があったとしたら、次のような問題が現実化しかねない。

例えば、年齢が80歳に達した人がいたとする。病院で、次のような会話が交わされる。

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医者「500万円コースの治療と、1000万円コースの治療があります。どちらになさいますか?」

老人「その二つのコースの違いはなんなのでしょうか?」

医者「500万円コースは、今までの治療実績の統計から、治療を受ける前の寿命を約5年間延ばすことができます。
   また、1000万円コースでは、その延命期間が統計予測上、10年です。」

老人「その5年とか、10年とかいう数字って確かなのですか?」

医者「もちろん、これは統計上の数字で、個々人の状況によって変わってきますし、本当に効果があったかどうかは
   その人個人が両方とも経験できるわけではないので、証明することはできませんが・・・」

老人「でも私には、退職したときからの蓄えが、すでに1000万円と少ししかないのです。もし10年延命したいから
   と言って、1000万円コースを受けたら、長くなった10年の寿命をほとんどお金を持たずに暮らすことになります。」

医者「では500万円コースということでいかがでしょう。そうすれば、治療しなかった場合の余命プラス治療による延命の5年を
   残った500万円で暮らすことができますよ。」

老人「その治療しなかったときの余命、というのは私の場合、推定できるのですか?」

医者「そうですね。今回の検査の結果から行って、統計的に、これも統計上の数字ですよ、間違えないでくださいね。
   あなたの場合は、う~ん、そうですね、3年から5年の中に86%の確率で入りますね。」

老人「そうすると86%の確率で、500万円コースの場合は、残ったお金の500万円ちょっとで8年から10年生きる、ということになるのですか?

医者「そうです。でも、残りの14%の確率で早く死ぬ場合もあるし、もっと長生きする場合もあります。早く死んだ場合は問題ないですが、
   もっと長生きした場合は、もうお金がなくなっているかもしれませんね。」

老人「ところでこの治療は保険がきくんですか?」

医者「残念ながらききません。ですから、虎の子の1000万円からお支払いいただくことになります。」

老人「わかりました。じゃあ、500万円コースにいたします。」

医者(そばの看護婦さんに向かって)「はい、この患者さん、5年の延命をお買い上げ~!」

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「笑い話」のようなことが現実になりつつある・・・・・・


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